UBEに長期投資するなら知っておきたい『設備投資リスクと配当余力』
UBEは事業構造改革を進めつつ、安定配当の維持を重視している化学メーカーです。最新の決算・中期計画をもとに、長期配当投資家向けに設備投資負担や財務リスクを整理します。
配当政策と現在の利回り
- 配当方針:DOE(株主資本配当率)2.5%以上、総還元性向30%以上
- 2024年度配当予定:110円(過去7年で増配継続)
- 現状の配当利回り:約4.9%
- 減配回避に強い姿勢を明確化
設備投資の状況
- 中期計画(2025〜2030年):総額4,600億円の投資計画
- うち75%を成長分野(スペシャリティ事業)に集中配分
- 2024年度:設備投資632億円、営業CF358億円 → フリーCFは▲274億円
- 営業CFを上回る積極投資が続く過渡期
構造改革の進展
- アンモニア事業(2027年度 国内生産停止予定)
- カプロラクタム(2026年度生産終了)
- タイ・スペインでも撤退・縮小を進行中
- 構造改革費用350億円を2024年度に減損計上
- 2030年CO2排出量65%削減見通し
成長投資の注力領域
- 分離膜(水素・環境分野向け)
- セパレーター(車載電池用途)
- ポリイミド(EUV・ディスプレイ材料)
- セラミックス(EV軸受向け)
- 医薬品原体・ライフサイエンス領域
財務状況と負債水準
- 自己資本比率:45.6%(減少中)
- 有利子負債:3,305億円(前年比+1,171億円)
- ネットD/Eレシオ:0.54(負債負担は拡大傾向)
- 現金等流動性:1,154億円(資金繰りは確保済み)
要注意ポイント
- 構造改革コスト・撤退費用が短期的に重荷
- 積極投資と財務負担バランスを注視
- 成長分野の収益拡大が計画通り進むかが鍵
長期配当投資家向けまとめ
評価軸 | UBEの状況 |
---|---|
配当安定性 | DOE型で安定配当志向(減配リスク抑制) |
設備投資 | スペシャリティ集中・営業CF超過の拡張投資継続 |
構造改革 | 低採算事業からの撤退進行・収益安定化狙う |
財務健全性 | 有利子負債増・自己資本比率低下傾向 |
今後の注目点 | 成長事業の収益化と負債圧縮ペース |
高利回り配当を維持しつつ、成長事業育成と構造改革の成果が今後のリターンを左右する局面です。積極投資局面ゆえ、財務バランスも丁寧にチェックするのが長期投資のコツと言えるでしょう。
【ご注意事項】
本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
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