【高配当×財務健全】TSテックに長期投資するなら知っておきたい「業績変動要因と中長期成長性」
TSテック(7313)はホンダ系自動車部品メーカーとして、グローバルにシート・内装部品を供給しています。2026年3月期は売上減を見込んでいるものの、収益改善や新規商権の拡大が進んでおり、中長期での成長期待が高まっています。本記事では最新の決算情報とともに、長期投資の視点から評価ポイントを整理します。
2026年3月期 業績見通しと要点
項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期(予想) | 増減率 |
---|---|---|---|
売上収益 | 4,605億円 | 4,300億円 | -6.6% |
営業利益 | 164億円 | 165億円 | +0.4% |
純利益 | 86億円 | 95億円 | +10.1% |
EPS | 72.4円 | 79.7円 | +10.1% |
配当利回り | 4.92% | 5.33% | 上昇 |
減益ではなく「一時的減収+収益改善」
- 中国・米州の販売台数減・モデル切替による減収
- 円高による為替マイナス影響:約▲22億円
- 一過性費用・人件費など経費増:約▲17億円
- 米州の収益改善・構造改革:約+38億円の押上げ効果
地域別の売上構成と収益性
地域 | 売上構成比 | 利益率の傾向 |
---|---|---|
米州 | 53.8% | 営業利益率改善中(2026年3.3%見通し) |
中国 | 14.5% | 利益率12%と安定 |
日本 | 22.5% | 高収益体質(営業利益の45%を占める) |
注目KPIと財務体質
- 営業利益率:3.6% → 3.8%水準へ回復想定
- ROE:2.73%(やや低いが回復余地大)
- 自己資本比率:70.8%(極めて健全)
- ネットD/Eレシオ:-36.4%(実質無借金)
- EV/EBITDA:3.2倍(バリュエーション面で割安)
- 配当性向:117%、総還元性向:173.5%
配当性向の補足と投資家への示唆
TSテックは近年、利益水準を上回る水準での配当を継続しており、2025年度の配当性向は117%、2026年度見通しでも113%に達する予定です。これは財務体質の健全性(自己資本比率70%以上・実質無借金)に支えられており、短期的には問題ないと考えられます。
ただし、長期的には利益成長と配当政策の整合性が重要です。今後の業績が横ばいに留まるようであれば、減配の可能性も視野に入れる必要があります。投資家としては、業績推移と中期経営計画の進捗を注視し、配当の持続性を見極めることが求められます。
中期経営計画のポイント(2024〜2026年度)
TSテックは「新価値創造経営」を掲げ、中期経営計画(公式サイトはこちら)において以下を重点方針としています。
- 米州での利益率改善(拠点統合・稼働率向上)
- 新規商権売上の積み増し(2026年度470億円目標)
- 環境・快適性・安全性に資するキャビン新技術開発
- 還元強化(DOE重視・安定配当維持)
進捗を測るための主要KPI
分類 | 指標 | 目安・数値 |
---|---|---|
収益性 | 営業利益率 | 4.0%以上(2026目標) |
米州営業利益率 | 2.3% → 3.3%(2026見通し) | |
成長性 | 新規商権売上 | 300億円 → 470億円(2026目標) |
還元性 | DOE | 3%以上の維持 |
総還元性向 | 173.5% → 今後の持続性注視 | |
財務健全性 | 自己資本比率 | 70%以上の維持 |
ROE | 現状2.7% → 中計で5%以上を目標 | |
技術開発 | 研究開発費/売上比率 | 約1.5〜2.0% |
まとめ
2026年3月期は慎重な業績見通しながらも、構造改革や商権拡大による回復フェーズへの転換点と捉えることができます。財務の健全性・配当水準の高さを踏まえると、短期の業績ブレに惑わされず、長期投資家が腰を据えて保有するのに適した局面にあるといえるでしょう。
【ご注意事項】
本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
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