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【業績見通し】小野薬品工業|2025年度(2026年3月期)業績予想をわかりやすく解説

小野薬品工業(4528)2025年度業績予想|配当・新薬・特許動向をわかりやすく解説

【業績見通し】小野薬品工業|2025年度(2026年3月期)業績予想をわかりやすく解説

小野薬品(4528)は、2025年度(2026年3月期)の連結業績予想(コアベース)を発表しました。前期に比べ業績はわずかに回復する見通しです。以下に主要なポイントを整理します。

※コアベースとは、一時的な損益(和解金・減損など)を除いた本業ベースの利益指標です。

■ 2025年度の連結業績予想(コアベース)

  • 売上収益:4,900億円(前年比 +0.6%)
  • コア営業利益:1,140億円(+1.2%)
  • コア当期利益:910億円(+0.7%)

■ 売上の主な内訳と製品動向

  • オプジーボ(国内):1,250億円(+3.9%)
    非小細胞肺がんなどでの使用拡大を見込む
  • フォシーガ:800億円(-10.7%)
    特許切れによる後発品影響を想定
  • キンロック:340億円(+33.4%)
    通年売上計上で大幅増
  • ロンビムザ:50億円(2025年2月発売の新製品)
  • ロイヤルティ・その他:1,600億円(+2.5%)

■ 費用の見通しと利益動向

  • 売上原価:1,035億円(-3.1%)
    フォシーガ等の売上減少が影響
  • 研究開発費:1,500億円(+4.7%)
    導入品や買収先プロジェクトの費用増加
  • 販売・一般管理費:1,200億円(-1.8%)
    コスト効率化を見込む

■ 業績予想の総括|わずかな増益、今後の成長に注目

2025年度は全体として小幅な増益にとどまる見込みですが、新薬の成長や買収効果が期待されます。一方で、特許切れや費用増も課題。今後の業績を左右するのは、キンロックやロンビムザといった新製品群の成長と、研究開発投資の成果と言えるでしょう。

【デサイフェラ社の買収背景と狙い】

小野薬品は、グローバルスペシャリティファーマとして中長期の成長戦略「パイプライン強化とグローバル開発の加速」「欧米自販の実現」を掲げており、その一環としてデサイフェラ社を買収しました。

デサイフェラ社はがん領域に特化した研究開発企業で、KIT阻害剤「QINLOCK(リプレチニブ)」を40か国以上で販売しており、CSF-1R阻害剤「Vimseltinib」も第Ⅲ相試験で主要評価項目を達成。今後欧米での承認申請が予定されています。

本買収により、小野薬品は欧米での自社販売体制を構築するとともに、パイプライン拡充とオンコロジー分野の研究加速を狙っています。QINLOCKやVimseltinibの導入は、短中期的な収益増にも貢献すると期待されます。

※データ出典:小野薬品工業IR・決算説明資料

■ 売上収益の内訳と地域別の構成(2024年3月期~2025年3月期)

【売上収益の内訳】

項目2024年3月期2025年3月期
製品・商品316,979 百万円330,763 百万円
ロイヤルティ・その他185,693 百万円156,107 百万円
合計502,672 百万円486,871 百万円

※注:「ロイヤルティ・その他」には、ブリストル・マイヤーズスクイブ社からのオプジーボに係るロイヤルティ収入(前期979億円→当期1,130億円)、メルク社からのKeytrudaに係る収入(前期530億円→当期264億円)を含みます。

【地域別売上収益】

地域2024年3月期2025年3月期
日本308,229 百万円295,247 百万円
米国158,933 百万円167,048 百万円
アジア13,585 百万円16,343 百万円
欧州21,926 百万円7,503 百万円
その他729 百万円
合計502,672 百万円486,871 百万円

※本データは、小野薬品工業株式会社「2025年3月期 決算短信」より引用・要約しています。

■ 投資判断のまとめ|中長期視点で注目したい銘柄

小野薬品は、免疫療法という成長市場を牽引してきた実績ある企業であり、高いROEと安定した財務基盤を背景に配当利回り5%超という魅力も備えています。新薬の育成や海外展開に加え、買収によるパイプライン強化にも積極的で、業績の回復フェーズにある今は、中長期での保有を検討するタイミングとも言えるでしょう。

ただし、2025年12月のフォシーガ特許切れ、2028年のオプジーボ特許満了など、既存製品への依存度が高い点は大きなリスク要因です。今後の成長は、これらを乗り越える新薬の上市や導入戦略、R&Dの成果にかかっています。

短期的な値動きに振り回されず、長期視点で「配当+成長」のバランスを見極められる投資家にとって、小野薬品は今後の展開に注目すべき有力候補といえるでしょう。

■ 関連情報

▶ 小野薬品の企業特徴や投資魅力については、こちらで詳しく解説しています:
【銘柄紹介】小野薬品工業(4528)|免疫療法のリーダー企業、配当利回り5%超の実力派

▶ 小野薬品のPERやPBR、配当利回りなどの株価指標については、以下の記事で他の高配当大型株と比較しながら解説しています:
【2025年4月版】今月の割安大型株4選|営業利益率×PBR×高配当で厳選

【ご注意事項】

本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。
また、記載内容は作成時点の情報に基づいており、将来を保証するものではありません。
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