【前編】グリムス(3150)とは?再エネ・省エネの注目企業を事業面から分析
※本記事は、以前紹介した「景気後退に強い8銘柄まとめ」の続編・掘り下げ分析です。
グリムスってどんな会社?
グリムス(3150)は、法人や家庭向けにエネルギーの最適化を提案する総合エネルギーソリューション企業です。再生可能エネルギーや省エネ設備の提案・導入支援を通じて、電力コストの削減や環境負荷の軽減をサポートしています。
主な事業内容は次の3つです:
- エネルギーコストソリューション事業:産業用太陽光発電や省エネ設備の提案(企業のコスト削減と環境対策の両立ニーズを捉えて成長中)
- スマートハウスプロジェクト事業:家庭用太陽光発電・蓄電池の販売(再エネFIT終了後の自家消費需要の取り込み)
- 小売電気事業(新電力):法人・個人向けに電力を供給(安定的なストック型収益源として展開)
決算ハイライト(2025年3月期 第3四半期)
- 売上高:248.6億円(前年同期比 +4.7%)
- 営業利益:50.4億円(+6.8%)
- 経常利益:51.6億円(+8.3%)
- 四半期純利益:34.9億円(+9.8%)
📢 配当方針の見直しについて(2025年3月24日発表)
2025年3月24日、グリムスは株主還元方針を見直し、配当性向の目安を従来の30%から40%へ引き上げることを発表しました。
今後は40%を目安とした安定的な配当の継続を図るとともに、内部留保を成長投資へ活用していく姿勢が強調されています。
過去5年間の通期業績推移(単位:百万円)
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS(円) | 配当(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
2021/3 | 19,311 | 1,650 | 1,745 | 1,120 | 49.5 | 17 |
2022/3 | 23,252 | 2,450 | 2,514 | 2,158 | 94.8 | 19 |
2023/3 | 31,392 | 3,600 | 3,687 | 2,465 | 108.2 | 22 |
2024/3 | 29,908 | 5,217 | 5,268 | 3,540 | 153.8 | 47 |
2025/3(予) | 34,000 | 6,500 | 6,570 | 4,320 | 187.0 | 75 |
※本表は株探に掲載されている企業情報をもとに作成しています。
直近の四半期業績の推移(単位:百万円)
期間 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | EPS(円) | 営業利益率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
23.01-03 | 7,017 | 775 | 802 | 561 | 24.6 | 11.0 |
23.04-06 | 7,507 | 1,863 | 1,886 | 1,277 | 55.8 | 24.8 |
23.07-09 | 8,437 | 1,334 | 1,345 | 900 | 39.3 | 15.8 |
23.10-12 | 7,806 | 1,528 | 1,533 | 1,004 | 43.7 | 19.6 |
24.01-03 | 6,158 | 492 | 504 | 359 | 15.6 | 8.0 |
24.04-06 | 7,653 | 1,663 | 1,709 | 1,155 | 50.0 | 21.7 |
24.07-09 | 9,125 | 1,709 | 1,741 | 1,179 | 51.0 | 18.7 |
24.10-12 | 8,081 | 1,673 | 1,710 | 1,158 | 50.1 | 20.7 |
※本表は株探に掲載されている企業情報をもとに作成しています。
四半期ごとの利益も安定しており、2024年4-12月累計の営業利益は約5,045百万円と順調に推移しています。
通期見通しでは、売上340億円・営業利益65億円・純利益43.2億円を見込んでおり、3期連続の過去最高益更新が期待されています。
各事業の利益構成比較(2025年予想 vs 2024年実績)
グリムスの主要3事業について、2025年3月期予想と2024年実績を比較しました。利益面では法人向けエネルギーソリューション(ECS事業)が引き続き収益の柱となっており、小売電気事業は売上比率が高いものの利益率はやや抑えられています。
事業区分 | 項目 | 2025年予想 | 2024年実績 |
---|---|---|---|
ECS事業 | 売上高 | 10,906 | 7,734 |
売上総利益 | 6,654 | 4,645 | |
営業利益 | 4,575 | 3,030 | |
SHP事業 | 売上高 | 4,310 | 4,440 |
売上総利益 | 1,803 | 1,845 | |
営業利益 | 575 | 587 | |
小売電気事業 | 売上高 | 18,783 | 17,733 |
売上総利益 | 2,742 | 2,766 | |
営業利益 | 2,082 | 2,267 | |
管理共通費 | 営業利益 | ▲733 | ▲668 |
2025年予想では、ECS事業が前年から大きく成長し、売上・利益ともに全体をけん引する構造です。一方で、SHP事業と小売電気事業は横ばいまたは減益が予想されており、事業ごとの収益性の違いが明確に表れています。
特に注目すべきは、小売電気事業が売上では最大ながら、営業利益ベースではECS事業の半分以下である点です。これは、法人向けのエネルギー設備提案の方が利益率が高く、同社の成長ドライバーであることを示しています。
今後の成長ポイント
- 自家消費型太陽光や蓄電池への需要拡大:脱炭素やコスト削減の流れを背景に今後も拡大見込み
- 法人向けの省エネ設備導入支援:助成金制度やESG投資の広がりと連動した需要増
- 電力小売市場での堅実な収益構造:リスク管理型の仕入により安定利益を確保
まとめ|グリムスは成長性と安定性を兼ね備えた注目企業
グリムスは、再エネ・省エネという社会的ニーズに応えるビジネスモデルを強みに、順調な業績拡大と堅実な財務運営を続けています。直近では、配当方針を引き上げるなど株主還元の姿勢も強化されており、今後の展開にも注目です。
次回は、株価や投資指標、チャート動向から見た「今が買い時か?」の判断材料について詳しく解説していきます。
▶ 次回(中編)はこちら:株価・指標から見たグリムスの投資判断
また、以下の記事もあわせてご覧ください:
- ✅ グリムスを含む景気後退に強い8銘柄まとめ
- 【前編】グリムス(3150)とは?再エネ・省エネの注目企業を事業面から分析
- 【中編】株価・指標から見たグリムスの投資判断|成長株×安定配当
- 【後編】グリムス vs 同業3社比較!どの再エネ銘柄に注目すべき?
【ご注意事項】
本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
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