【内需株の本命】カラオケ王者・第一興商が描く長期成長戦略
1. はじめに:第一興商とは?
第一興商(7458)は、業務用カラオケ「DAM」や直営店「ビッグエコー」を中心に、音楽ソフト、飲食、パーキングなど多角的に事業を展開する国内内需型企業です。コロナ禍を乗り越え、2025年3月期には過去最高の売上高と純利益を記録しました。
2. 過去3年の業績推移
決算期 | 売上高(億円) | 営業利益 | 純利益 |
---|---|---|---|
2023年3月期 | 1,285 | 129 | 83 |
2024年3月期 | 1,467 | 186 | 126 |
2025年3月期 | 1,530 | 179 | 182 |
カラオケ需要の回復と新たな成長事業(パーキング等)が加わり、右肩上がりの成長を維持。2025年は特別利益も寄与し、純利益が急伸しました。
3. セグメント別業績と注目KPI
① 業務用カラオケ事業
- 売上高:622億円(+2.0%)/営業利益:117億円(△5.7%)
- DAM稼働台数:22.0万台(+1.3%)
- 賃貸件数:11.4万件(+1.6%)
- 新型機「LIVE DAM WAO!」発売で拡販期待
DAM稼働台数は、第一興商のリカーリング(継続課金)型収益を支える重要な指標です。機器をレンタルすることで、月額収入が積み重なる安定したキャッシュフロー構造となっており、稼働台数が増えるほど利益のベースが広がります。
② カラオケ・飲食店舗事業
- 売上高:665億円(+2.8%)/営業利益:63億円(△10.6%)
- 既存店売上:カラオケ+2%、飲食+3%
- 全国:カラオケ503店、飲食159店
③ 音楽ソフト事業
- 売上高:55億円(△17.5%)/営業利益:3.2億円(△12.7%)
- 羽生結弦作品『GIFT』『プロローグ』が大ヒット
- 安定収益は音楽出版分野にシフト中
④ その他事業(パーキング中心)
- 売上高:186億円(+31.2%)/営業利益:23億円(+61.4%)
- 施設数:3,900(+600)→ 2026年には4,500へ拡大予定
- 収益性が高く、今後の成長の柱
4. 2026年3月期の見通し
- 売上高:1,627億円(+6.3%)
- 営業利益:180億円(+0.3%)
- 純利益:130億円(△28.5%、前期の特別利益剥落)
新機種「LIVE DAM WAO!」やエルダー市場向け製品の普及に注力。広告宣伝・設備投資は重くなるが、売上の拡大が続く見込みです。
5. 長期投資家が注目すべきKPI
- ROE:16.2%(資本効率◎)
- 営業利益率:11.7% → 予想11.1%(安定性あり)
- 自己資本比率:55.6%(財務健全)
- DAM稼働台数:22.0万 → 22.5万へ増加見通し
- パーキング施設数:3,900 → 4,500(拡大成長)
特にROEやフリーキャッシュフローといった資本効率・財務健全性を見ながら、稼働台数や施設数といったKPIの積み上げが続くかに注目しましょう。
6. 株価・バリュエーション
- 株価:1,562.5円(2025年5月時点)
- PER:12.56倍 / PBR:1.40倍
- 配当利回り:3.65%
- 25日乖離率:-4.05%(押し目水準)
株価は年初来高値(1,854円)から調整局面にあり、現在は中期移動平均線(25日線)を下回る下落トレンドの最中です。 反転を確認するためには、以下の2点に注目しましょう:
- ① 株価が25日移動平均線を明確に上抜ける
- ② 5日移動平均線が25日線を上抜ける「ゴールデンクロス」を形成
このようなテクニカル指標の好転が見られたタイミングで、一度にまとめて買わず、2~3回に分けて段階的にエントリーするのがリスクを抑えた戦略です。
7. まとめ
- 内需型ビジネスで不況耐性◎
- DAM・ビッグエコーによる安定収益+ブランド力
- パーキング事業「ザ・パーク」は成長加速中
- ROE・自己資本比率・FCFなど財務指標も良好
業績・指標・事業モデルすべてが長期投資に適したバランスの良い銘柄です。中長期での資産形成において、第一興商は注目に値する一社と言えるでしょう。
【ご注意事項】
本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。
また、記載内容は作成時点の情報に基づいており、将来を保証するものではありません。
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