三井化学:成長投資と高配当利回りのバランス【最新版】
三井化学は成長投資を積極的に進めつつ、高い配当水準を維持している注目企業です。直近の決算説明資料・質疑応答も踏まえ、長期配当投資家向けに最新の投資判断ポイントを整理します。
配当政策と現在の利回り
- DOE(親会社持分配当率)3%以上、総還元性向40%以上を目標
- 2025年度も年間150円配当を維持予定(配当性向は約80〜90%台の高水準)
- 現状の配当利回り:約4.6%
- 利益減少下でも減配を避ける姿勢は堅持
設備投資の現状と今後の動向
- 2024年度:設備投資1,452億円(前年比▲405億円減少)
- 2025年度計画:設備投資1,540億円(やや増加)
- 営業キャッシュフローは2,005億円と安定し、フリーCFは+355億円と黒字維持
- 投資水準は営業CFの範囲内に収まり始め、投資負担バランスは改善傾向
設備再編・構造改革の進展
- 市原フェノールプラント停止(2026年度予定)
- 岩国PETプラント停止(2024年10月完了)
- 千葉クラッカーの統廃合も引き続き協議進行中
- 老朽設備の更新負担は今後徐々に軽減見込み
成長投資の注力領域
- タフマー®:シンガポール新工場は2025年商業運転予定
- EUVペリクル:先端半導体向けで年30〜40%の高成長継続
- 高機能フィルム、バイオマス素材、半導体材料に集中投資
- 脱炭素・バイオマス・リサイクル関連技術開発も進行中
財務状況とリスク要素
- 有利子負債残高:7,917億円
- 自己資本比率:約36%(2025年3月期時点)
- Net D/Eレシオ:0.73倍(若干悪化も水準は安定)
- ROEは直近約3.8%まで低下
- 米国関税リスクも一部織り込みながら対応進行中
要注意ポイント
- 引き続き設備投資額は高水準で継続 → 投資成果の回収が鍵
- 利益回復が遅れれば配当負担が逼迫するリスクは残る
長期配当投資家向けまとめ
評価軸 | 三井化学の状況 |
---|---|
配当安定性 | 減配回避に強い姿勢(DOE重視) |
設備投資 | 積極的成長投資を継続中(投資成果次第) |
財務負担 | 負債依存は高水準、やや改善傾向 |
今後の注目 | 構造改革進展と成長投資の回収ペース |
成長投資と高配当の両立を掲げつつも、設備投資リスクを常に意識して判断する必要がある銘柄です。財務改善がさらに進み、利益成長が伴えば配当の安定感はさらに高まります。
【ご注意事項】
本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。
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