三菱ガス化学 2025年3月期決算分析:Q3との比較と長期投資評価
- 通期決算では純利益+17.3%の増益に転じた。
- 第4四半期に持分法利益が大幅増加し、収益を押し上げた。
- セグメント別ではメタノールや半導体材料が牽引。
- 自己資本比率は59.7%で財務健全性は高水準。
- 年間配当は95円→次期100円予定、配当性向54.1%見込み。
📊 通期と第3四半期決算の比較
項目 | 第3四半期累計 | 通期実績 | 前年比 |
---|---|---|---|
売上高 | 5,832億円 | 7,735億円 | ▲4.9% |
営業利益 | 453億円 | 508億円 | +7.4% |
経常利益 | — | 603億円 | +31.0% |
当期純利益 | 356億円 | 455億円 | +17.3% |
第4四半期には、持分法利益の回復(+110億円)や法人税調整効果が利益を押し上げました。売上減はJSPの持分法移行に伴うもので、実質的な販売低下ではありません。
🏭 セグメント別の動向
グリーン・エネルギー&ケミカル事業
- セグメント利益:101億円 → 205億円(+102.4%)
- 要因:メタノール価格の上昇、中南米JVの損失剥落
- ヨウ素やLNGも堅調、一部MMA製品で減益あり
機能化学品事業
- セグメント利益:386億円 → 439億円(+13.5%)
- 電子材料・半導体薬液・光学樹脂の販売増が貢献
- 脱酸素剤「エージレス®」も円安効果で好調
💰 財務体質・配当政策
- 総資産:1.12兆円(+516億円)
- 自己資本比率:59.7%
- 営業CF:+754億円/投資CF:▲909億円(積極投資)
- 年間配当:95円(前年比+15円)→ 来期100円予定
- 配当性向:41.5% → 来期見込み54.1%
💱 為替の影響
2024年度後半の円安(ドル円148円台)は、MGCにとってプラス要因。メタノールやイソフタル酸など輸出型製品の採算が向上しました。ただし、為替が円高に転じた場合は逆風になるリスクもあります。
三菱ガス化学(4182)2026年3月期 決算予想の評価
項目 | 2025年実績 | 2026年予想 | 前期比 |
---|---|---|---|
売上高 | 7,735億円 | 7,300億円 | ▲5.6% |
営業利益 | 508億円 | 460億円 | ▲9.5% |
経常利益 | 603億円 | 500億円 | ▲17.1% |
純利益 | 455億円 | 360億円 | ▲21.0% |
EPS(1株利益) | 228.9円 | 184.9円 | ▲19.2% |
年間配当 | 95円 | 100円 | +5円(増配) |
🔍 減益の主な要因
- 研究開発費や償却費の増加により、固定費が上昇
- 為替前提は1ドル=140円と円高設定(前期実績は約153円)
- 無水フタル酸事業などからの撤退で売上構成が変化
💡 投資家へのポイント
三菱ガス化学は、2026年3月期で減益予想ながら5円の増配(100円)を掲げており、配当政策の安定性は評価できます。為替の想定が実勢よりも円高で保守的なため、実際の為替(現在:148円)とのギャップ次第では上振れの可能性もあります。
長期投資の観点では、機能化学品や半導体・光学材料といった成長分野への注力、財務の健全性(自己資本比率約60%)を踏まえ、中長期の収益成長とインカム狙いの両立が見込まれる銘柄です。
🔚 長期投資としての評価
三菱ガス化学はPBR 0.65倍・PER 約9倍と割安であり、成長分野(半導体・再エネ)を支える製品と安定配当が魅力です。2026年3月期は減益見通しながら、保守的な想定であり、実際には上振れの可能性も視野に入ります。 2026年3月期は減益予想(経常利益▲17%)ながら、構造改革・株主還元の強化により、安定インカムを重視する投資家にとって有力候補といえるでしょう。
※本記事は決算資料等に基づき作成しています。一部数値は四捨五入。2025年5月時点の情報。【ご注意事項】
本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
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