内需株

【中部電力の投資判断】燃料事業と株主還元に注目の安定バリュー株

【中部電力の投資判断】燃料事業と株主還元に注目の安定バリュー株

【中部電力の投資判断】燃料事業と株主還元に注目の安定バリュー株

✅ 通期業績推移(2022年3月期~2026年3月期 予想)

決算期 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 最終利益 1株益(円) 1株配(円)
2022年3月期2,705,162-53,830-59,319-43,022-56.950
2023年3月期3,986,681107,08965,14838,23150.650
2024年3月期3,610,414343,339509,295403,140533.255
2025年3月期3,669,234242,045276,400202,087267.460
2026年3月期(予想)3,550,000230,000185,000245.070

※業績データは 株探(kabutan.jp) より引用・編集(2025年5月時点)

✅ 四半期業績推移(2023年4-6月期〜2025年1-3月期)

期間 売上高(百万円) 営業利益 経常利益 最終利益 1株益(円) 営業利益率(%)
2023年4-6月期897,604157,186242,941202,050267.217.5%
2023年7-9月期943,94088,472134,364109,477144.89.4%
2023年10-12月期855,59943,95359,65945,57660.35.1%
2024年1-3月期913,27153,72872,33146,03760.95.9%
2024年4-6月期820,59285,867124,92599,537131.710.5%
2024年7-9月期945,89056,88763,00347,44062.76.0%
2024年10-12月期885,15441,36634,35520,16826.74.7%
2025年1-3月期1,017,59857,92554,11734,94246.25.7%

※業績データは 株探(kabutan.jp) より引用・編集(2025年5月時点)

✅ 業績の注目ポイント(解説)

▶ 通期ベースでの収益構造と利益回復

中部電力は2022年に赤字へ転落しましたが、翌2023年に黒字化、2024年には過去最高益を記録しました。2025年・2026年はその反動で利益が減少する見通しですが、それでも1,800〜2,000億円規模の安定黒字が維持されています。

▶ 増配傾向と財務健全性

配当は安定的に増加しており、2026年3月期は年70円予想。震災前水準を超えており、配当利回りは約3.8%、配当性向も20〜30%台と健全です。

▶ 今後の注目点

  • ・JERAによる海外燃料事業や再エネ投資の成否
  • ・燃料市況の影響と電力需給バランス
  • ・原発停止継続によるコスト負担構造
  • ・トヨタ等製造業依存の地域での電力需要変化(2019年度の米中貿易摩擦と同程度の電力需要が減少した場合、収支にて数十億円程度の悪化が想定)

✅ JERAとは?中部電力の収益を支える合弁企業

JERA(ジェラ)とは、東京電力ホールディングスと中部電力が50:50で出資する火力発電・燃料事業の合弁会社です。2015年に設立され、2019年に両社の国内火力発電事業を完全統合しました。

主に、液化天然ガス(LNG)や石炭の調達・トレーディング、火力発電所の運営、さらに東南アジアや欧米を中心とした海外発電事業(IPP)などを展開しています。

  • ✅ 日本最大の火力発電会社
  • ✅ LNG調達量は世界トップクラス
  • ✅ 海外収益・燃料トレード利益が中部電力に「持分法適用」で反映される

JERAの存在により、中部電力は「原発ゼロでも黒字を確保できる構造」を持っており、燃料価格の高騰局面でも他電力会社より収益耐性がある点が強みです。

✅ 関西電力との比較:なぜ比較するのか?

関西電力の業績や投資判断の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています:

👉 【長期投資視点】関西電力の業績と今後の見通し|電力大手4社と徹底比較

中部電力(9502)と関西電力(9503)は、いずれも「準メガ電力」として東京電力に次ぐ規模を誇る企業で、安定配当と地域インフラを背景に投資対象として並べて検討されることが多いです。

項目 中部電力(9502) 関西電力(9503)
原発の稼働状況浜岡原発停止中高浜・大飯原発 稼働中
燃料事業の強みJERAによる燃料・海外展開燃料外部調達に依存
2026年3月期 予想純利益約1850億円約2950億円
配当予想年70円年60円
PBR約0.5倍約0.6倍
PER約7倍約6.4倍

✅ 中部電力の業績への影響(原油・為替・金利変動の感応度)

変動要因 変動幅 収支への影響額(億円) 備考
原油CIF価格+1ドル/bbl▲25JERAの期ずれ影響
為替レート+1円/USD▲5JERAの期ずれ影響
金利+1%▲50中部電力の支払利息影響

✅ 総まとめと投資スタンス

中部電力は、原発停止という制約を抱えながらも、JERAを通じた燃料調達力と海外展開によって安定収益を維持しています。配当も堅調に増配しており、PBR0.45倍・PER6倍台の割安バリュー株としての魅力が際立ちます。

今後は、為替や原油価格の動向を注視しながら、割安になった局面で少しずつ拾っていく「押し目買い」の投資戦略が有効と考えられます。

【ご注意事項】

本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。
また、記載内容は作成時点の情報に基づいており、将来を保証するものではありません。
最新の情報や詳細は、各企業の公式IR資料などをご確認ください。