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【長期投資視点】関西電力の業績と今後の見通し|電力大手4社と徹底比較

【長期投資視点】関西電力の業績と今後の見通し|電力大手4社と徹底比較

【長期投資視点】関西電力の業績と今後の見通し|電力大手4社と徹底比較

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関西電力は2026年3月期の連結業績で、減益予想を発表しました。しかし、2025年5月現在の原油価格や為替レートを踏まえると、業績の上方修正が期待できる状況です。本記事では、業績の現状、主な要因、改善余地をわかりやすく解説します。

この記事でわかること:
・関西電力の業績予想と市況の影響
・他電力大手3社との比較(配当・収益構造)
・バリュー株としての投資評価ポイント

✅ はじめに

不透明な経済環境の中で、電力株は安定収益を期待できるディフェンシブ銘柄として再評価されています。物価高や景気後退に強く、原発再稼働や再エネ推進といった政策も追い風です。

生活インフラを支える電力事業は需要の落ち込みが少なく、他業種と比べて収益が安定しやすい点も魅力といえるでしょう。

🔍 1. 電力大手4社の基本情報と特徴比較

会社名主なエリア原発稼働特徴
関西電力関西あり(複数稼働)原発依存度高、収益安定
東京電力HD関東停止中福島事故対応、最大売上規模
中部電力中部停止中JERA持分で燃料事業に強み
九州電力九州あり(継続稼働)原発集中、高収益体質

電力大手4社はそれぞれの地域特性や原子力依存度によって特徴が異なります。なかでも関西電力と九州電力は、原発再稼働によって収益性を高めている点が注目されます。

📈 2. 売上・利益の推移と今後の業績予想

関西電力は2026年3月期の連結業績で減益予想を発表していますが、2023年度には過去最高水準の営業利益を記録。足元では原油価格や為替レートが想定よりも有利に働いており、上方修正の可能性が出てきています。

項目 2024年度 実績 2025年度 予想 増減額 増減率
売上高 4兆3,371億円 4兆円 ▲3,371億円 ▲7.8%
営業利益 4,689億円 3,800億円 ▲889億円 ▲19.0%
経常利益 5,316億円 4,000億円 ▲1,317億円 ▲24.8%
純利益 4,203億円 2,950億円 ▲1,253億円 ▲29.8%

原子力利用率の低下(88.5%→80%程度)や電力需要減・コスト上昇が主因ですが、原油価格や為替レートの前提(75ドル/150円)に対して、現在は62ドル/143円と有利な状況が続いており、業績の上振れ余地があります。

💡 市況変化による収支試算

要因 前提 現在 差分 収支影響
原油価格 75ドル 62ドル ▲13ドル +13億円
為替レート 150円 143円 ▲7円 +105億円

※原油価格:1ドル変動=約1億円、為替レート:1円変動=約15億円(関電試算)

  • 関西電力・九州電力:原発比率が高く、燃料の輸入依存度は相対的に低いため、為替や原油価格の影響は比較的限定的。
  • 東京電力・中部電力:火力発電比率が高く、LNGや原油の輸入コストに強く影響される。円安や原油高は業績悪化要因に。

💸 3. 配当実績と株主還元方針の比較

会社名2024年配当配当性向還元姿勢
関西電力60円約14%安定配当を継続
東京電力HD0円無配継続中
中部電力70円約25%震災前以上に増配
九州電力50円約20%復配・増配傾向

配当の観点では、関西電力・中部電力・九州電力の3社が安定的な配当を継続・強化しています。とくに中部電力は震災前を上回る配当水準まで回復。東京電力は福島第一原発事故の影響から長期にわたる無配を続けており、株主還元という点では他社に劣後しています。

📊 4. 株価推移とバリュエーション比較

関西電力・中部電力・九州電力の株価は直近1〜2年で回復基調にあり、PBRは依然として0.5倍前後と割安感があります。東京電力は再稼働見通しが立たないなか、株価も長期的に低迷。全体として電力株は「高配当・低PBR」というバリュー株の特性が強く、インカム投資家から注目されています。

特に関西電力は、原発の稼働による安定的な収益構造が評価され、2023年度には過去最高水準の営業利益を記録しました。しかし2024年11月13日、「新株式発行および自己株式の処分並びに株式売出し」に関する発表を行ったことで、需給悪化懸念から株価が下落しました。

こうした希薄化リスクは一時的にマイナス材料となるものの、得られた資金を活用した成長投資や財務体質の強化により、長期的には企業価値の向上につながる可能性があります。中長期投資の観点では、こうした局面での押し目買いは一考に値するでしょう。

🔚 まとめ|投資先として注目すべきは?

関西電力は原発稼働による安定収益、インフレ耐性、安定配当が魅力で、2024年度には過去最高益を達成。2026年は一時的な減益見通しですが、長期視点では底堅い成長性が期待されます。

中部電力もJERAとの連携や配当回復により、長期成長の候補。どちらも景気後退下の守りとして有力な選択肢です。

東京電力は再稼働期待による投機的な上昇余地がある一方、リスクも大きく、九州電力は高収益ながら地域リスクに注意が必要です。

🧭 補足:他社の注目ポイント

  • 東京電力:原発再稼働すれば急騰余地あり
  • 中部電力:JERAなど非電力分野の成長に注目
  • 九州電力:原発稼働率がカギ、地方需要減には注意

🔚 結論と投資視点

関西電力はディフェンシブ性、原子力によるコスト安定、高配当といった要素を持つ中で、足元の市況改善が追い風となっており、2026年3月期の業績上方修正の可能性も視野に入ります。中長期保有においても配当利回り・収益安定性の両面で魅力があり、景気後退期のポートフォリオ候補として注目すべき銘柄といえるでしょう。

【ご注意事項】

本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。
株式投資は元本保証がなく、株価の変動等により損失が生じるリスクがあります。
投資判断は必ずご自身の責任において行ってください。
また、記載内容は作成時点の情報に基づいており、将来を保証するものではありません。
最新の情報や詳細は、各企業の公式IR資料などをご確認ください。